「生理用品を学校に置くと子どもがだらしなくなる」という大人たち
先日、Twitterでこのようなツイートを目にしました。
経済的な理由などで、生理用品を購入することが難しい「生理の貧困」という社会問題があることが、「子どもが甘える」「学校の評判が下がる」ことを理由に、支援を拒む学校関係者がいるのだと驚きました。
生理の貧困とは?
生理の貧困(せいりのひんこん)とは、経済的な理由などから生理処理用品を入手することが困難な状態にあることを指す。
経済的な理由のほかにも、羞恥心により購入に躊躇いがあることや、家族の無理解により入手ができないということが、2021年3月に国際NGOのプラン・インターナショナルが15歳から24歳を対象に実施したアンケートで示された。
引用:生理の貧困 – Wikipedia
「たかが生理用品ではないのか?」そう思っている人は一度、この記事を読んでください。
生涯で生理にかかる費用は40万円?
一般的な生理周期で人の女性が1人の女性が生涯生理用品にかかる費用は40万円と試算されました。
例)一般女性女性の場合
①生理周期は5日間
②生理用品はナプキンを使用
③1日目~3日目までは鎮静剤を使用
の場合
1日あたり=約100円~140円
1か月あたり=約500円~1,200円
ナプキンのほかにも、生理用ショーツを買う必要があります。人によっては低用量ピルを生理痛の軽減などのため服用している人もいます。
もしも、肌がかぶれやすい人は通常より高価なナプキンを使ったり、腹痛がつらい場合は鎮痛剤の服用や、温めるためのカイロなど購入するものはさまざまで、上記の金額にこの費用が加わります。
そして、生理痛などで仕事を休んでしまった場合は、収入が減ってしまう。そんな場合もあります。
生理用品は千差万別
生理用品が買えないという意見に対して、「なぜ買えないの?安売りしてるじゃないか。」と疑問に思われる方は、ドラッグストアなどで安売りされている生理用品を見かけたことがあるのかもしれません。
確かに、安い物だと「羽なしふつうの日用・30個入り」で250円前後のナプキンもあります。
しかし生理とは、人それぞれによって症状が違うのです。
私の場合でお話すると、私は非常に経血の量が多いので、「ふつうの日用」や「夜用〇〇㎝」などでは、出血に間に合いません。
例えば、昼に夜用の大きなナプキンと、タンポンの両方をしていたとしても、出血量が多く、1時間持たずに、交換しなければならないほどでした。
そうなると、高価な夜用のナプキンとタンポンと、費用は2倍もかかります。
生理痛もひどいので、痛み止めの処方で病院にかかることで診療代とお薬代もかかります。
今では、婦人科で低用量ピルを処方してもらっています。
おかげで経血の量は減ってきましたが、今度は、低用量ピルのお薬代が毎月約3,000円前後かかることになりました。
ナプキンなどは、出血量が減ったとはいえ、多い日もあるので、オムツ型の物を使用しています。(もれなくて便利です。)しかし、5枚入りで500円と割高です。
そのほかにも、ナプキンはオーガニックコットンのみしか使えないという肌の弱い方もいらっしゃいます。
生理の症状は個人によっても異なり、一人一人が使い分けないといけないのが、生理用品なのです。
ですから、一概にも大安売り品を使えばいいという訳にはいかないのが現実なのです。
金銭面だけじゃない生理の貧困
生理用品が買えないという人の中には、家庭の事情で購入できない人たちもいます。
・ネグレクト、虐待、生理ヘイト
母親が身の回りの世話をしてくれなかったため、生理用品を手に入れることができなかった。というネグレクトなど虐待が絡んでいるケースなどがあります。
中には、初潮を迎えたことがわかると「けがらわしい」などの暴言を吐かれた上で、経済的な余裕があるにも関わらず、十分に生理用品を与えてもらえなかったという人もいました。
・異性(父親・夫)の生理への無知、無理解
もし父子家庭の場合だと、父親が生理用品を用意するという考えがそもそもなく、また異性(父親)であるがゆえに本人も恥ずかしくて言い出せない、というケースがあります。
もちろん年頃の娘に生理が来ることを想定し、用意する父親もいるでしょう。
しかし、男性が生理について知らなくても生きてゆける社会で、その考えができない父親がいるのも事実です。
・性教育の不足、知識不足
また、そもそも1日に必要なナプキンの量を知らない、しかも、生理の量を調整できると勘違いしている男性のエピソードもたくさんあります。
実の夫が生理用品を十分に購入させてくれなかった、という主婦の方もいます。
男女別の性教育の弊害が浮き彫りになった一例といえるでしょう。
参考:「ナプキンくらい買えるでしょ」…経済的支援で「生理の貧困」が解決すると思っている人の大間違い(ヒオカ) @moneygendai
海外での取り組み
日本では「生理の貧困」と呼ばれていますが、海外では「生理の貧困」について、どのような取り組みが行われているのでしょうか?
生理用品が無料提供されている国があります。
スコットランド
2020年の11月に世界で初めて生理用品を無償提供する法案が可決されました。
この法案は、学校を含む公共施設において生理用品を無料で提供するというものです。
これにより生理用品を必要とする全ての人が生理用品を無料で使うことが可能になりました。
ニュージーランド
2021年6月より「生理の貧困対策」として全ての学校で生理用品を無料配布することが決定しました。
フランス
2021年2月に大学生に対して生理用品を無料で配布することが発表されました。
他にも英国の全ての小中学校に無料提供制度が導入され、アメリカの一部の州では、学校での生理用品の無料提供を義務付ける法案が成立しています。
生理用品の税率の撤廃と減税
ドイツ
タンポンはぜいたく品と位置づけられて19%もの税がかかっていましたが、
カンヌライオンPR部門で2019年にグランプリを受賞し、話題となったのが、ドイツの「タンポンブック」という取り組みで、この取り組みをスタートに、生理用品の税率については話し合われ、2020年より7%に減税されました。
イギリス
今年1月にイギリスがEUから離脱したこともあり、生理用品に課されていた5%の税を廃止しました。
オーストラリア
2018年に生理用品を商品サービス税の課税から除外することを決定しました。
インド
2018年、生理用品に課税されている12%の税を撤廃することが発表されています。
また、アメリカの12もの州をはじめ、カナダやケニア、コロンビア、マレーシア、ニカラグア、ウガンダ、ジャマイカ、ナイジェリア、レバノン、トリニダード・トバゴなどが生理用品の減税や税金撤廃を行っています。
参考:最近話題の「生理の貧困」。生理用品に関する日本や海外の取り組み(ウィメンズヘルス) – Yahoo!ニュース
日本でも配布がはじまる。
日本でも生理用品の無料配布が各市町村や自治体で行われるようになってきています。
【福岡県】新型コロナウイルス感染症の影響で生理用品を十分に入手できない女性を支援するため、災害救助用備蓄生理用品を無償配布します
【神奈川】ナプキン無償配布、広告料原資に 官民で生理の貧困対応 神奈川 | 毎日新聞
※インターネットなどで、お住まいの市町村名、もしくは自治体名で「生理用品配布」で検索すると、配布されている場所や詳細を知ることができます。
正しい知識を
生理の貧困の中には、正しい生理の知識がないために起こりうることもあります。
私自身も、長年生理不順でしたが症状を放置していました。
周りに相談できる人もおらず、安易な「大丈夫」という自分の考えで片づけてしまっていたのです。
今になって思うのは、もう少し金銭的に余裕のある時期に病院に通っていたらよかったという思いがあります。
「生理不順は病院に行かなければならない。放置してはいけない。」とどこかで学んでいれば違ったかもしれません。
そして、男性だけでなく女性にも生理について、知ってほしいこともあります。
生理の軽い人には、生理の重い人の気持ちを分かってもらいづらいという意見もありました。
生理の症状は、一人一人ちがい、何一つ同じものはありません。
出血が多い人、少ない人。生理痛の重い人、軽い人、生理がこない人、止まらない人・・・
あげるとキリがありませんが、同じ女性同士でも理解し合えない場面があるのです。
もし、理解し合えればどんなに心強いでしょう。
生理の貧困を一度、一緒に考えてみませんか??
参考サイト
コロナ禍の「生理の貧困」救う ナプキン、各地で配布:朝日新聞デジタル
新型コロナウイルス感染症の影響で生理用品を十分に入手できない女性を支援するため、災害救助用備蓄生理用品を無償配布します
「“生理の貧困”は経済的困窮だけではない」適切なケアや情報にアクセスできる社会に 特集「現代の貧困」
「ナプキンくらい買えるでしょ」…経済的支援で「生理の貧困」が解決すると思っている人の大間違い(ヒオカ) @moneygendai